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記事: 『82年生まれ、キム・ジヨン』と、今も残る「当たり前」の話

『82年生まれ、キム・ジヨン』と、今も残る「当たり前」の話

『82年生まれ、キム・ジヨン』と、今も残る「当たり前」の話

昨年、映画『82年生まれ、キム・ジヨン』という映画を観ました。

 

『82年生まれ、キム・ジヨン』は、一人の女性の誕生から学生時代、受験、就職、結婚、出産、育児までをたどりながら、その人生に当たり前のように入り込んでいる困難や差別を描いた物語です。

 

観始めて最初に感じたのは、正直に言えば、「ものすごく昔の話みたいだ」ということでした。

 

女性だからという理由で進学や仕事の選択肢を狭められる。痴漢に遭ったのは娘なのに、加害者ではなく娘が父親から服装や帰宅時間を叱られる。結婚や出産を機に、女性の仕事だけが簡単に手放されていく。

 

あまりにも露骨な女性差別に見えて、自分のいる時代とは少し離れた話のように感じたのです。

たった8歳しか違わなかった

けれど、タイトルにあるとおり、主人公のキム・ジヨンは1982年生まれです。

 

私は1990年生まれ。たった8歳しか違いません。

 

もちろん、韓国と日本では社会や文化が違います。作中の出来事を、そのまま自分や日本の女性の経験として語ることはできません。

 

それでも、これほど近い世代の女性の話なら、形を変えた似たようなことが、私の周りでも起きていたのではないか。私自身が気づいていなかっただけではないか。

 

そう思うと、急に「昔の話」ではなくなりました。

当たり前すぎて、違和感すらなかった

映画を観ながら思い出したのは、実家で食事の準備をしていたときのことです。

 

わが家では、父、兄たち、私、母という順番で箸を並べていたように思います。

 

誰かから、その順番にしなさいと言われた記憶はありません。なぜそうしていたのか、説明することもできません。ただ、それがあまりにも当たり前で、当時は違和感すら覚えませんでした。

 

父はいわゆる昔かたぎで、「男たるもの」という考えを持つ人でした。兄たちもそれをまねるようになり、私や母を簡単に動かそうとすることがありました。

 

私はそれを断固として拒否して、何度も喧嘩した記憶があります。

 

それでも、箸を並べる順番のような小さな習慣は、今も自分の中に残っているかもしれない。意図していなくても、身についてしまったものを、無意識に次の世代へ渡してしまうかもしれない。

 

そう考えると、少し怖くなります。

出産すると、働き方まで変わってしまう

作品の中では、女性の働き方についても繰り返し描かれます。

 

就職の場面では、女性であることが不利に働く。仕事を続けていても、結婚や出産をすると、育児を担うのは当然のように女性だと考えられる。夫婦二人の子どもなのに、仕事を辞めるか、働き方を変えるかを迫られるのは女性です。

 

退職を自分で選んだように見えても、その前には「子どもは誰が見るのか」「家事はどうするのか」「母親なのに」という、たくさんの見えない圧力があります。

 

私も息子を育てるようになり、出産や育児によって女性の働き方が変わることは、もう誰かの遠い話ではありません。どちらか一人の仕事や時間だけが、調整する前提になっていないか。

 

作品を観ながら、今の自分の生活にも向けたい問いだと思いました。

 

時代は確実に変わってきました。女性が働き続けることも、男性が育児を担うことも、以前より当たり前になっています。

 

それでも、子どもの体調不良で仕事を休むのは誰か。保育園の持ち物を覚えているのは誰か。家族の食事や予定を考えているのは誰か。

 

名前のつかない小さな負担まで見ていくと、まだ根深い格差が残っていると感じることは少なくありません。

息子に渡したくないもの

私には、まだ幼い息子がいます。

 

息子には、「男だから」という理由で誰かに世話をしてもらうことを当然だと思ってほしくありません。母親や女性に頼めばいい、自分は動かなくていい、という感覚を身につけてほしくない。

 

けれど、そう願うだけでは足りないのだと思います。

 

子どもは、大人が言ったこと以上に、大人が普段していることを見ています。家の中で誰が食事を用意して、誰が片づけて、誰が家族のことを考えているのか。私自身が無意識に受け継いでいるものにも、気をつけなければいけません。

違和感を覚えたら、少しずつ反抗してもいい

『82年生まれ、キム・ジヨン』を観て、最近は原作の小説も読み進めています。

 

この物語に描かれていることのすべてが、今も同じ形で続いているとは思いません。時代は、間違いなく良い方向へ変わってきています。

 

だからこそ、まだ残っている違和感を「昔からこうだから」と飲み込まなくてもいいのだと思います。

 

少しおかしいと思ったら、声に出してもいい。

 

大きな運動にしなくても、「私はやりません」「その言い方は嫌です」「なぜ女性だけなのですか」と、小さく反抗してもいい。

 

声を上げれば、口には出していなくても、同じ違和感を抱えていた人がきっといます。

 

当たり前すぎて見えなかったことに気づくのは、少し怖い。でも、気づいたところから変えていけばいい。

 

息子の世代が同じ物語を観たときに、今度こそ心から「これは昔の話だ」と思えるように。まずは、自分の家の中にある小さな当たり前から、見直していきたいと思います。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

 

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