記事: つわりの原因が、ようやくわかってきた。知っていましたか?

つわりの原因が、ようやくわかってきた。知っていましたか?
私は、つわりがほとんどありませんでした。
妊娠初期に多少のだるさや気持ち悪さはあったけれど、日常生活への影響は、まったくと言っていいほどなかったと思います。
一方で、私の周りには、つわりがとてもつらかった友人が何人もいました。入院した人もいます。聞いた話では、つわりがあまりにも重く、妊娠を続けることが難しくなった人もいたそうです。
同じ妊娠なのに、なぜこんなにも差があるのだろう。
なぜ、これほど日常を壊す症状なのに、原因も対処法も、はっきりしないままなのだろう。
友人たちの話を聞くたびに、妊娠や出産に伴う負担の個人差の大きさに驚き、聞いているだけでもつらくなりました。
「体質」の一言では説明できなかった差
つわりは、妊娠した人の約70%に起こるとされています。その中でも、食べたり飲んだりすることが難しくなり、日常生活が大きく制限される重い状態は「妊娠悪阻」と呼ばれます。
これまでも、妊娠に伴うホルモンの変化などが関係すると考えられてきました。けれど、なぜほとんど症状がない人と、入院が必要になるほど重くなる人がいるのか。その差は十分に説明されていませんでした。
2023年に発表された研究では、胎児・胎盤由来の「GDF15」というホルモンと、それに対する母体側の感受性が、つわりや妊娠悪阻の重さに大きく関わっている可能性が示されました。
妊娠前のGDF15への曝露が少ない人ほど、妊娠初期に急増するGDF15に強く反応する可能性がある。
つまり、症状の差は単に「我慢強いか」「体が弱いか」という話ではなく、体内の仕組みによって生まれているのかもしれません。
「ようやく」と思った
この研究を知ったとき、最初に浮かんだのは、「ようやくか」という思いでした。そして素直に、「すごいな」とも思いました。
もちろん、一つの研究ですべてが解明されたわけではありません。GDF15を標的にした治療も研究段階で、妊娠中に安全に使える治療として確立されたわけではありません。
現在は、この仕組みに働きかける薬の臨床試験も進み始めています。
それでも、つらさを生む仕組みが少しずつ見えてきたことに、私は大きな希望を感じました。
同時に浮かんだのは、なぜここまでわかるのに、こんなにも時間がかかったのだろう、という疑問でした。
置き去りにされてきたのでは、という疑問
ここからは、私個人の仮説です。
医師や研究者の多くを男性が占めていた時代が長かったことで、女性の体に起きる症状の研究が後回しになってきた面もあるのではないか。
研究の遅れをそれだけで説明することはできないけれど、どうしてもそう考えてしまいます。
人類を生み出すのは女性の体なのに、その体に起きることが、長いあいだ「妊娠にはつきもの」「個人差があるから仕方がない」と置き去りにされてきたように感じるのです。
わかることは、これからも増えていく
今回取り上げたのは、つわりの研究についてですが、女性の体や心について、まだ説明できていないことは、きっとたくさんあります。
生理、PMS、更年期、妊娠や出産。それぞれに大きな個人差があり、本人にしかわからないつらさがあります。
その一方で、研究によってわかることは増え、治療につなげようとする動きも始まっています。
「女性だから仕方がない」と諦めてきたことにも、理由が見つかる日が来るかもしれない。女性であることを、つらさや我慢と結びつけるだけの時代から、少しずつ変わり始めている。
まだ途中ではあるけれど、「ようやく」という気持ちの先に、小さな晴れ間が見えたように思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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