自分の生理は「普通」なのか、気になるとき
生理(月経)が予定より早く来た。今回はいつもより長く続いている。そんなとき、自分の生理は「普通」なのか、気になることはありませんか。
生理の状態を見るときには、次の生理までの間隔、出血が続く日数、経血の量という3つの見方があります。厚生労働省のサイトでも、それぞれに「正常」とする範囲が示されています。1
ただ、その範囲と、多くの人の記録を集めた平均は、同じものではありません。まずは数字が何を表すのかを確かめながら、周期・日数・量を順に見ていきます。
周期は、始まった日から次の生理の前日まで
生理周期は、生理が始まった日を1日目として、次の生理が始まる前の日までを数えます。たとえば4月1日に始まり、次が4月29日に始まった場合、その間の4月1日から28日までの28日間が1周期です。生理が終わってから次が始まるまでの間隔ではありません。2
厚生労働省の「働く女性の心とからだの応援サイト」では、周期の正常範囲は25〜38日です。ヘルスケアラボも同じ範囲を示しています。「28日ぴったり」であることを求める数字ではなく、短い側にも長い側にも幅があります。13
厚生労働省の分類では、24日以内は「頻発月経」、39日以上は「稀発月経」、3か月以上生理がない状態は「無月経」と呼ばれます。なお、医学事典のMSDマニュアルが紹介する国際産婦人科連合(FIGO)の分類は24〜38日で、短い側の区切りが1日違います。14
出血が続く日数は、周期とは別に数える
周期が次の生理までの間隔を表すのに対して、出血期間は、1回の生理で出血が続く日数です。たとえば28日周期で出血が5日間続く場合、周期は28日、出血期間は5日という、別々の数字になります。
厚生労働省のサイトでは、出血期間の正常範囲は3〜7日です。8日以上続く場合を「過長月経」、2日以内で終わる場合を「過短月経」としています。1
一方、MSDマニュアルが紹介するFIGOの分類では、正常は8日以下です。日本の資料で過長月経に入る8日も、この分類では正常に含まれます。周期も出血期間も、資料によって区切りが少し異なるため、どの分類の数字かをそろえて読む必要があります。4
生理周期
生理が始まった日から、次の生理が始まる前日まで
厚生労働省
FIGO
(国際産婦人科連合)
短い側の区切りが、25日と24日で異なります。
出血が続く日数
1回の生理で、出血が続く日数
厚生労働省
FIGO
(国際産婦人科連合)
8日間の出血を、正常範囲に含めるかが異なります。
色の帯は正常範囲を示します。厚生労働省は「働く女性の心とからだの応援サイト」(注釈1)、FIGO(国際産婦人科連合)はMSDマニュアル掲載の分類(注釈4)によります。「8日以下」の帯の左端は、下限を示していません。
経血量は、mLの数字だけでは捉えにくい
厚生労働省のサイトでは、経血量の正常範囲は20〜140mLで、「個人差有」と添えられています。非常に多い場合は「過多月経」、非常に少ない場合は「過少月経」と呼ばれますが、その境目の量は明記されていません。1
同じサイトには、月経カップで経血量を測れるという説明もあります。一方、研究では、使ったナプキンなどに含まれる血液を化学的に測る方法が使われてきました。「量」といっても、何を使ってどう測ったかを確かめる必要があります。15
研究で伝統的に使われてきたのは、1回の生理で80mLを超える出血を過多月経とする基準です。これは、先ほどの正常範囲の上端である140mLとは、別の資料にある別の基準です。2つを一つの物差しとして並べることはできません。56
また、イギリスの国立医療技術評価機構(NICE)は、過多月経を、体や心、社会生活などの面で暮らしの質を妨げるほど多い出血と定義しています。何mLかに加え、生活にどのような支障があるかも重視されているのです。56
診察で量を捉える際には、本人の説明も使われます。ナプキンやタンポンが短時間でいっぱいになること、大きな血のかたまりが出ることなどが、出血が多い可能性を示す手がかりです。時間や大きさの具体的な区切りは、資料によって異なります。47
公的資料の正常範囲、研究で使われてきた基準、診察での手がかりを分けて示しています。何時間以内・何cm以上を手がかりとするかは資料によって違うため、図には数字を入れていません(注釈4・7)。80mLと140mLは別々の資料の数字で、一つの範囲の区切りとして並べたものではありません。
実際の記録では、28日ちょうどの周期は13%
ここまでは「正常」とされる範囲の話でした。では、実際の周期はどのくらいの長さなのでしょう。
海外のアプリ利用者約12万人の、排卵が確認された約61万周期を調べた研究では、28日ちょうどの周期は13%でした。25〜30日の周期が65%を占め、31〜35日が19%、21〜24日が8%、36〜50日が7%と、長さには広がりがありました。対象は18〜45歳で、おもにスウェーデン・イギリス・アメリカの利用者です。8
日本のアプリ「ルナルナ」の約31万人、約600万周期を調べた研究でも、平均の長さは年齢によって異なりました。23歳では30.7日、45歳では27.3日でした。9
これらは、アプリに記録した人たちの結果で、すべての人を代表するとは限りません。また、ある長さの周期が多かったことと、その長さを正常とすることは別です。研究の平均や割合は、実際の生理の幅を知るための数字です。89
棒の長さは周期の数に比例しています(25〜30日の棒を最大として描いています)。区切りは論文の分け方で、日本の資料の「正常」の範囲とは別のものです。これより短い周期と、50日を超える周期は、どちらも1%未満でした。排卵が確認された周期だけを数えた、アプリ利用者(18〜45歳、おもにスウェーデン・イギリス・アメリカ)のデータです(注釈8)。
範囲を外れたことだけで、原因まではわからない
正常範囲から外れる変化にも、いくつかの背景があります。ヘルスケアラボによると、普段は生理が正常な人でも、疲れやストレスで一時的に周期が乱れることがあります。3
一方で、生理の変化が病気の症状として現れることもあります。日本産科婦人科学会は、子宮筋腫の主な症状に過多月経と、それに伴う鉄欠乏性貧血を挙げています。出血が多いことは、量だけでなく体の状態にも関わります。10
範囲を外れたという数字だけでは、一時的な変化なのか、病気が関わっているのかまでは区別できません。「普通かどうか」を考えるとき、周期・日数・量の範囲は、生理の状態を捉えるための一つの見方です。
「普通の生理」は一つではなく、周期・日数・量に幅があります。
注釈・出典
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厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト」「月経について」。「正常な月経」の表に、周期「25日~38日」、出血期間「3日~7日」、経血量「20~140ml(個人差有)」とあります。「月経(出血状態)の異常」の表では、頻発月経「月経周期が24日以内」、稀発月経「月経周期が39日以上」、無月経「3か月以上月経のない状態」、過長月経「1回の月経が8日以上続く」、過短月経「1回の月経が2日以内で終わる」、過多月経「経血の量が非常に多い」、過少月経「経血の量が非常に少ない」としています。また「月経痛や月経異常は、もしかしたら、病気が潜んでいるかもしれません」としています。同ページには、月経カップで経血量を測定できるという説明もあります(2026年10月5日再確認)。ページに更新日・監修者の記載はありません。 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
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日本産科婦人科学会の用語集(「産科婦人科用語集・用語解説集」)は書籍で、本文は確認できていません。学会の定義は、医学雑誌の2つの解説で確かめました。いずれも医書.jp で公開されている冒頭部分で確認しています。北脇城・岩破一博「若年女性の月経周期異常」(臨床婦人科産科 63巻8号、2009年、1071–1075ページ)は、学会の用語解説集による月経の定義を引いたうえで、「月経周期日数は,月経開始日より計算して次回の月経開始前日までの日数をいい,正常範囲は周期日数が25~38日の間にあり」としています。江夏亜希子「連載 Let's Talk about Woman's Health② 意外と知られていない「正常」なリズムの見分け方」(看護学雑誌 69巻6号、2005年)は、「日本産科婦人科学会では,月経周期は25~38日」「持続日数は3~7日」「月経血量は20~140 mlを正常としています」と紹介しています。本文の4月1日〜28日という数え方と、28日周期・出血5日という組み合わせは、数え方を示すための仮の例で、研究の実測値ではありません。 ↩
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厚生労働省研究班監修 ヘルスケアラボ「月経不順・無月経」(2025年10月17日更新、監修:日本医科大学付属病院 女性診療科・産科 平池修氏)。「周期は25日~38日であれば正常です」「健康な正常月経の女性でも疲労やストレスで短期的に月経不順になることはよくあります」。 ↩1 ↩2
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MSDマニュアル プロフェッショナル版「正常な月経パラメータ」(表)。頻度「24日以上38日以下」、期間「1周期当たりの出血期間が8日間以下」としています。表は、FIGO の月経障害委員会の分類(Munro MG, Critchley HOD, Fraser IS. Int J Gynaecol Obstet. 2018;143(3):393–408)にもとづくとしていますが、この論文の本文は確認できていません。出血量については、正確な測定はできないため臨床的には本人の説明によるとし、「ナプキンまたはタンポンが3時間以内に月経血で飽和状態になるか、直径2.5cmを超える凝血塊の排出がみられる場合は、出血が多量である可能性が高い」としています。MSDマニュアルは製薬会社の Merck & Co. が発行する医学事典です。 ↩1 ↩2 ↩3
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Magnay JL, O'Brien S, Gerlinger C, Seitz C. A systematic review of methods to measure menstrual blood loss. BMC Women's Health. 2018;18:142(全文で確認)。「The alkaline hematin technique, which involves chemically measuring the blood content of used sanitary products, is considered the "gold standard" for MBL determination and has traditionally been used to diagnose HMB as a loss of more than 80 mL of blood per cycle」とし、Hallberg らの1964年・1966年の研究を参考文献に挙げています(この2つの研究は確認できていません)。NICE の定義は「excessive menstrual blood loss (MBL) that interferes with a woman's physical, emotional, social, and material quality of life (QoL)」と紹介しています。 ↩1 ↩2 ↩3
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Critchley HOD ほか. Menstruation: science and society. American Journal of Obstetrics and Gynecology. 2020;223(5):624–664(全文で確認)。「Traditionally in research, bleeding was measured by volume of menstrual blood lost (>80 mL)」とし、NICE の定義(暮らしの質を妨げるほど多い出血)を紹介しています。NICEの定義は、この注釈と注釈5の2つの論文で確かめました。2026年10月5日も定義を扱うContextページは取得できませんでしたが、公式勧告1.1.1では、出血量だけに焦点を当てるのではなく、生活の質の改善を重視することを検索経由で確認しました。 ↩1 ↩2
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アメリカ疾病予防管理センター(CDC)「About Heavy Menstrual Bleeding」(2024年5月15日レビュー)。出血が多いことの目安として、ナプキンやタンポンを2時間未満で替える必要がある、1時間ごとに1枚以上がいっぱいになる状態が数時間続く、25セント硬貨ほど以上の大きさのかたまりが出る、7日を超えて続く、などを挙げています。注釈4の MSDマニュアル(3時間以内、直径2.5cm超)とは、時間とかたまりの大きさの言い方が違います。 ↩
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Bull JR, Rowland SP, Scherwitzl EB, Scherwitzl R, Danielsson KG, Harper J. Real-world menstrual cycle characteristics of more than 600,000 menstrual cycles. NPJ Digital Medicine. 2019;2:83(全文で確認)。アプリ「Natural Cycles」の利用者124,648人(登録時18〜45歳、おもにスウェーデン・イギリス・アメリカ在住)の、排卵が確認された612,613周期を調べています。排卵が確認できなかった周期は除き、10〜90日の周期を対象にしています。28日ちょうどの周期は81,605周期(13%)。長さ別では、21〜24日が8%、25〜30日が65%、31〜35日が19%、36〜50日が7%で、これより短い周期と、50日を超える周期は、どちらも1%未満でした。出血の日数は平均4.0日(標準偏差1.5日)。著者のうち2人は Natural Cycles 社の社員、2人は同社の創業者です。限界として、アプリの利用者が全体を代表していない可能性を挙げています。 ↩1 ↩2
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Tatsumi T ほか. Age-Dependent and Seasonal Changes in Menstrual Cycle Length and Body Temperature Based on Big Data. Obstetrics and Gynecology. 2020;136:666–674(全文で確認)。スマートフォンのアプリ「ルナルナ」に2016〜2017年に記録された、310,668人の5,956,886周期を調べています。2年で10周期を超えて記録した人に限り、7日以下と90日を超える周期は入力の誤りや妊娠の可能性があるとして除いています。平均の周期は15歳から20代前半まで長くなり、23歳で最も長い30.7日、その後45歳の27.3日まで短くなり、45歳以降は再び長くなっていました。限界として、アプリを使い続けている人に偏っている可能性を挙げています。 ↩1 ↩2
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日本産科婦人科学会「子宮筋腫」(2025年1月30日更新)。「子宮筋腫の主な症状は、月経の出血量が異常に多い過多月経と、それに伴う鉄欠乏性貧血、月経痛(月経困難症)です」。 ↩