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記事: 基礎体温のグラフから、何がわかる? 読み取れることと、読み取れないこと

基礎体温のグラフから、何がわかる? 読み取れることと、読み取れないこと | Règles よみもの
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RÈGLES / よみもの25

生理・基礎体温

基礎体温のグラフから、何がわかる?読み取れることと、読み取れないこと

読了の目安:約5分

基礎体温を測ると、何がわかる?

生理がいつ始まったかは、日付を記録すれば振り返れます。では、生理と次の生理の間に、排卵が起きていたかどうかは、何を手がかりにすればよいのでしょうか。

その手がかりの一つになるのが、基礎体温です。排卵に伴うホルモンの変化は、体温にも表れます。毎朝の体温を記録していくと、その変化から、排卵があったかどうかを推定できます。1

基礎体温を測るのは、こうした生理の周期に伴う体の変化を知るためです。ここでは、まず基礎体温とはどんな体温なのかを確かめてから、グラフの読み方を見ていきましょう。

朝起きてすぐに測るのは、小さな変化を見るため

基礎体温とは、体が安静にしていて、生命を維持するのに必要な最小限のエネルギーしか使っていないときの体温です。寝ている間の状態に近づけるため、朝、目が覚めてすぐ、起き上がる前に測ります。12

使うのは専用の婦人体温計で、測る場所は舌の下です。ふだんのわきの下での測定とは異なり、小数点以下2けたまでの小さな変化を記録します。ヘルスケアラボでは、この変化から女性ホルモンの変動を捉えると説明しています。1

グラフで見たいのは、低い体温が続く時期と、それより高い体温が続く時期があるかどうかです。1回の測定値だけでなく、日々の値を並べることで、周期の中での変化が見えてきます。14

排卵のあと、ホルモンのはたらきで体温が上がる

生理(月経)が始まった日を1日目として、排卵までは体温の低い「低温期」です。28日周期なら約2週間にあたりますが、長さには個人差があります。1

排卵のあとに分泌が増えるプロゲステロン(黄体ホルモン)には、体温を上げるはたらきがあります。その作用によって、体温が低温期より0.3〜0.5℃ほど上がり、「高温期」に入ります。ホルモンの変化が、体温の差としてグラフに表れるのです。13

ヘルスケアラボの説明では、高温期は12〜14日ほど続き、そのあと体温が下がって次の生理が始まります。低温期と高温期の「低い・高い」は、このように周期の中の体温を比べた言葉です。1

研究では、排卵前の時期を「卵胞期」、排卵後の時期を「黄体期」と呼びます。基礎体温の低い時期と高い時期は、それぞれこの2つの時期に対応しています。34

Fig. 01基礎体温のグラフの模式図(28日周期の例)
基礎体温のグラフの模式図 生理が始まった日を1日目として、14日目までは体温の低い低温期、15日目から28日目までは低温期より0.3〜0.5℃高い高温期として描いた模式図。低温期から高温期に変わったころに排卵があったと推定する目印の点線がある。実際の測定値ではない。 体温 低温期より 0.3〜0.5℃高い 高温期 12〜14日続く このころに排卵が あったと推定 低温期 約2週間 1 14 28 生理が始まった日を1日目とした日数

模式図で、実際の測定値ではありません。28日周期の例で、高温期は14日として描いています。体温の差と日数は注釈1の資料の値です。縦軸には体温の値を入れず、低温期との差だけを示しています。

2つに分かれていれば、排卵があったと推定できる

低温期から高温期への変化が見られたら、そのころに排卵があったと推定できます。こうした、グラフが低い時期と高い時期に分かれる形を「二相性」といいます。13

ここで手がかりになるのは、体温が上がったあと、高い状態が続くことです。上がった値が続いたのを見て、排卵後の黄体期に入ったと判断するので、推定できるのはあとからになります。体温の上昇は、これから起きる排卵を知らせる合図ではないのです。4

高温期が何日続いたかも、グラフから読み取れます。ヘルスケアラボでは、16日以上続く場合は妊娠の可能性、低温期が続く場合は無排卵の可能性、高温期が短い場合は黄体ホルモンの分泌が十分でない可能性を挙げています。いずれも、グラフの形だけで確定するものではありません。1

同じ資料が2〜3周期の記録を見るとしているのは、1周期だけでは平均的な体調を判断できないためです。1回のグラフに見られた形と、いくつかの周期を通して見られる傾向も、分けて考える必要があります。1

Fig. 02グラフの形と、資料の説明
グラフの形ヘルスケアラボの説明

低温期のあと高温期に変わる

そのころに排卵があったと推定できる

2つの時期に分かれる(二相性)

排卵があると推測できる

高温期が16日以上続く

妊娠の可能性

体温が上がらずに低温期が続く

無排卵の可能性

高温期が短い

黄体ホルモンの分泌が十分でない可能性

右の列は、注釈1が挙げる推定や可能性です。グラフの形だけで、妊娠や異常を確定する表ではありません。排卵があった周期でも、医師の判定で低温期だけが続く形とみなされた例が報告されています(注釈5)。

基礎体温だけで、排卵日までわかる?

基礎体温の変化は、排卵があったことを推定する手がかりになります。ただし、グラフを見て「この日に排卵した」と正確に決められるわけではありません。5

1981年の研究では、98人の女性の基礎体温のグラフを、経験のある医師6人が読み取りました。その判定を、排卵の合図になる黄体形成ホルモン(LH)のピークと比べています。5

ホルモンの検査で排卵があり、排卵後の黄体期も十分とされた周期でも、医師たちの推定がLHのピークの前後1日と一致したのは一部でした。さらに、排卵があった周期の一部は、グラフでは低温期だけが続く形と判定されていました。5

この研究からは、体温の線が2つの時期に分かれて見えないことを、そのまま「排卵がなかった」とは言い切れないこともわかります。体温の変化を読む方法と、ホルモンを調べる方法は、同じ結果を必ず示すわけではないのです。5

体温は、測る条件や体調でも変わる

基礎体温に関わるのは、排卵に伴うホルモンの変化だけではありません。発熱やお酒、心や体のストレス、睡眠の乱れも、体温に関わる要因として挙げられています。3

部屋の温度や起きる時刻、気候の変化も関わります。また、ピルや解熱剤を飲み始めた直後・やめた直後も、基礎体温に影響しうる条件です。3

つまり、グラフの上下には、周期に伴う変化と、それ以外の条件が重なって表れます。ある日の体温が上がったり下がったりしても、その変化をすべて排卵やホルモンだけで説明することはできません。3

グラフから見えるのは、体温がどう移り変わったか。その背景にある排卵を推定する手がかりにはなりますが、排卵日や異常の有無まで、体温だけで正確に判断するには限界があります。25

Fig. 03グラフから読み取れることと、読み取れないこと
読み取れること
  • 低温期と高温期の2つに分かれているか(注釈1)
  • 高温期が何日続いたか(注釈1)
  • 分かれていれば、高温期に変わったころに排卵があったという推定(注釈1・4)
読み取れないこと・限界
  • 排卵の日を前もって知ること(注釈1・4)
  • 読み取った排卵の時期が、ホルモンの検査で調べた時期と合わないこともある(注釈5)
  • 体温は、発熱や睡眠の乱れなどでも変わる(注釈3)
  • 排卵があった周期でも、低温期だけが続く形とみなされた例がある(注釈5)

体温の変化はグラフから読み取れますが、その背景にある排卵は、あとから推定するものです。

基礎体温のグラフは、排卵をあとから推定する手がかり。

注釈・出典

  1. 厚生労働省研究班監修 ヘルスケアラボ「基礎体温」(2026年4月15日更新、監修:春名めぐみ氏)。「基礎体温とは、生命を維持するのに必要最小限のエネルギーしか消費していない安静時の体温です。つまり、寝ている間の体温を指していますので、朝起きて、すぐに舌の下で検温することが大切です。専用の婦人体温計を用いて測定します。普通の腋の下の体温測定では参考になりません」「女性の体は、排卵したあとに、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌に合わせて、わずかに(0.3~0.5℃)体温が上がります」「月経が28日周期の場合、月経の初日の1日目~排卵までの約2週間は、低温期(個人によってバラつきがあります)です」「高温期は12~14日続きます。16日以上、高温期が続く場合は妊娠の可能性があります」「体温が上がらず、低温期が続いていたら、無排卵の可能性もあります」「低温期のあと、高温期に変わったら、そのころに排卵があったと推定できます」「排卵後は、高温期が約14日間続き、その後、体温が下がり、月経になります」「基礎体温が二相性になっていれば、排卵があると推測できます」「1周期だけでなく、2~3周期は確認してください。1か月(1周期)では、平均的な体調が判断できないからです」「小数点以下2ケタのところでの小さな変化を確認します。これは、女性ホルモンの変動を確認しています」。高温期が短い場合や一時的に体温が下がる場合については、黄体ホルモンの分泌が悪いことから「黄体機能不全を疑います」としています。このページでは「卵胞期」「黄体期」ではなく「低温期」「高温期」の語を使っています。体温の上がり幅は資料によって異なり、注釈2は「0.5℃以上」、注釈3は0.5〜1.0°F(摂氏に換算すると約0.3〜0.6℃)、注釈4は研究で上昇とみなす目安として0.2〜0.3℃としています。 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10

  2. MSDマニュアル家庭版「排卵の異常に伴う不妊症」(Robert W. Rebar 著、2024年9月最終更新)。「排卵の異常の診断」の項で、排卵を調べる方法の一つとして基礎体温の測定を挙げ、「基礎体温の測定には、目が覚めてすぐ、ベッドから出る前が最も適しています」「0.5℃以上の体温上昇は通常、排卵が起こったばかりであることを示唆します。しかし、この方法は時間がかかり、信頼性も低く、正確ではありません」としています。MSDマニュアルは製薬会社のMerck & Co.が発行する医学事典です。 ↩1 ↩2

  3. Su HW, Yi YC, Wei TY, Chang TC, Cheng CM. Detection of ovulation, a review of currently available methods. Bioengineering & Translational Medicine. 2017;2(3):238–246(全文で確認)。排卵を調べる方法をまとめた総説です。基礎体温の上昇はプロゲステロンの体温を上げる作用(「thermogenic effect of progesterone」)によるもので、卵胞期には低い範囲にとどまり、排卵のあと0.5〜1.0°F上がって黄体期のあいだ続くとし、この二相の形は「retrospectively suggests ovulation」(あとから振り返って排卵を示す)としています。基礎体温に関わるものとして「fever, alcohol, emotional or physical stress, sleep disturbance, change of room temperature, change of waking time, change of climate, and recent start or discontinuation of birth control pills or anti‐pyretics」を挙げています。体温が上がり始めた日の判断が観察者のあいだで一致しにくいこと(「poor agreement on the first day of BBT rise between different observers」)は、総説が先行研究(Kambic・Gray 1989)から紹介しているもので、元の研究は確認できていません。 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6

  4. Schmalenberger KM ほか. How to study the menstrual cycle: Practical tools and recommendations. Psychoneuroendocrinology. 2021;123:104895(全文で確認)。周期を研究するための方法をまとめた総説です。基礎体温は卵胞期のあいだ低く、黄体期のあいだ高い状態が続くとしています。研究では、卵胞期の値から0.2〜0.3℃上がることなどを上昇の目安にしてきたとしています。この値は、総説が先行研究(Colombo ほか・Ecochard ほか)から紹介しているもので、元の研究では確認できていません。「Given that only a sustained temperature rise confirms the luteal phase, BBT is considered most accurate for retrospective identification of the periovulatory phase」「BBT does not allow for confirmation of ovulation timing until much later in the cycle」としています。 ↩1 ↩2 ↩3

  5. Bauman JE. Basal body temperature: unreliable method of ovulation detection. Fertility and Sterility. 1981;36(6):729–733。確認できたのは要旨のみです(Europe PMC 経由)。98人の女性の周期の基礎体温のグラフを、経験のある医師6人が評価した研究です。要旨では、ホルモンの検査で排卵があり黄体期も十分と確かめられた周期について、医師たちがグラフから推定した排卵の時期が、黄体形成ホルモン(LH)のピークの前後1日と一致したのは一部(「only」)にとどまり、ほかにも一部の周期が、医師たちの判定で一相性とみなされたとしています。「Extreme caution in interpretation is urged when BBT is used for clinical or research evaluations of ovulation or menstrual cycle dynamics.」 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5

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