前と違う生理は、年齢のせい?
前より生理が早く来るようになった。出血の量も、以前とは違う気がする。そんな変化に気づくと、年齢と関係があるのか、更年期が近づいているのかと気になるかもしれません。
生理を終える時期が近づくと、来る回数や出血の量が少しずつ減っていく。そんなイメージはないでしょうか。実際には、周期が短くなる時期もあれば、出血が多くなることもあります。12
生理はどのように変わり、閉経へ向かっていくのでしょう。まずは周期と量の変化から、更年期との関わりや年齢の目安を見ていきましょう。
周期は、短くなってから間隔があくことも
卵巣の働きが徐々に変わり、生理を終えることを「閉経」といいます。日本産科婦人科学会は、更年期にさしかかって卵巣の機能が低下し始めると、生理の周期は短くなり、さらに低下すると今度は長くなって、閉経を迎えると説明しています。1
周期とは、生理が始まった日から、次の生理が始まる前日までの長さです。3周期が短くなると、次の生理は前より早く来ます。閉経に向かう途中には、生理の間隔が詰まる時期もあるのです。
その後は、早く来るときと遅く来るときの差が大きくなり、やがて長く間隔があくようになります。研究で使われる「STRAW+10」という分類も、周期が少し短くなる段階、ばらつきが大きくなる段階、間が長くあく段階に分けて、閉経までの変化を整理しています。4
- 1生理の周期が少し短くなる
- 2周期の長さのばらつきが大きくなる
- 3生理の間が長くあく
- 4最後の生理(閉経)
研究の分類(STRAW+10)をもとに、周期の変化を簡略化した模式図です。各段階の長さは人によって違い、特定の年齢で区切られるものではありません。分類の詳しい条件は注釈4にまとめています。
この時期の背景には、卵巣が出すホルモンの量が不規則に変動し、排卵の回数も減っていくことがあります。アメリカの更年期学会(The Menopause Society)は、こうした卵巣の働きの変化によって、生理の間隔や出血の様子が変わると説明しています。2
生理の量は、増えることも減ることもある
周期とともに変わることがあるのが、出血の量です。閉経が近づくからといって、毎回少しずつ減っていくとは限りません。
イギリスの国民保健サービス(NHS)は、閉経に向かう時期には、生理が来る間隔が短くも長くもなり、出血の量も多くなることと少なくなることの両方があると説明しています。5
出血が続く日数も変わることがあります。アメリカ保健福祉省の女性の健康局(OWH)は、生理がいつもより長く続くことも、短く終わることもあるとしています。次の生理までの間隔だけでなく、一回の生理の量や長さにも変化が表れるのです。6
ただし、出血の変化があれば、それがすべて閉経に向かう変化だと決まるわけではありません。The Menopause Societyは、心配な変化かどうかを確かめるには、医療者に相談することが大切だとしています。2
更年期は、閉経をはさんだ10年間
こうした生理の変化と関わる「更年期」は、閉経の前後5年ずつ、あわせて10年間を指します。日本産科婦人科学会は、生理が1年以上止まったことを確かめてから、1年前を振り返って閉経と診断するとしています。生理がまだ続いている時期も、更年期に含まれます。1
日本産科婦人科学会の定義をもとにした模式図で、長さは実測ではありません。閉経の年齢には個人差があり、図の位置は人によって前後します(注釈1)。
日本人の閉経の平均年齢は50歳前後ですが、個人差があり、早い人で40代前半、遅い人で50代後半と学会は説明しています。1厚生労働省が示す更年期の「45〜55歳ごろ」は、平均の閉経年齢にもとづく一般的な目安です。7
雑誌やウェブで見かける「プレ更年期」については、今回確認した学会や公的機関の資料では、決まった定義は見つかりませんでした。8言葉から始まる年齢を決めるより、実際にどんな生理の変化が見られるのかを知る方が、手がかりになります。
周期の変化は、何歳ごろに見られる?
年齢の目安を知る手がかりとして、生理を記録するアプリのデータを年齢別に比べた研究があります。同じ人の一生を追った結果ではなく、各年代の記録に表れた傾向です。
アメリカの約1万2,600人の記録では、平均の周期は20代・30代より40代で短く、50歳以上では長くなっていました。周期のばらつきは35〜39歳で最も小さく、45〜49歳、50歳以上で大きくなっていました。9
日本の約31万人の記録でも、平均の周期は23歳で最も長く、そこから45歳まで短くなり、その後は長くなっていました。ばらつきは41歳で最も小さく、45歳を超えると大きくなっていました。10
同じ人の変化を追ったアメリカの研究(SWAN)もあります。42〜52歳で参加した女性が、周期のばらつきが大きくなる段階に入った年齢を調べたものです。ほかの条件の影響を調整した中央値は、たばこを吸う人で約46歳、吸わない人で約47歳でした。11
平均20代・30代より40代で短く、50歳以上では長い
ばらつき35〜39歳で最も小さく、45〜49歳、50歳以上で大きい
平均23歳で最も長く、45歳まで短くなり、その後は長い
ばらつき41歳で最も小さく、45歳を超えると大きい
ばらつきが大きくなる段階に入った年齢の中央値は、喫煙者で約46歳、非喫煙者で約47歳(ほかの条件を調整)
数値のグラフにしていないのは、研究ごとに対象の国・人数・ばらつきの測り方が違い、同じ目盛りで比べられないためです(注釈9〜11)。
アプリの2つの研究では、ばらつきの測り方は異なりますが、どちらも40代後半で大きなばらつきが見られました。これは集団の傾向で、一人ひとりが同じ年齢で同じ変化をたどるという意味ではありません。
閉経に向かう生理は、少しずつ減っていくとは限らない。
注釈・出典
日本産科婦人科学会「更年期障害」(2025年1月30日更新)。「月経が1年以上止まっていることを確認してから、1年前を振り返って閉経と診断します」「閉経前の5年間と閉経後の5年間をあわせた10年間を「更年期」といいます」「日本人女性が閉経する平均年齢は、50歳前後といわれています。ただ閉経の年齢は個人差が大きく、早い人で40代前半、遅い人だと50代後半で閉経を迎えます」「更年期にさしかかり、卵巣の機能が低下し始めると、月経周期は短くなります。卵巣の機能がさらに低下すると、今度は月経周期が長くなり、最終的に閉経を迎えます」。 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
The Menopause Society「Perimenopause」。「It's common for cycles to become a little shorter than usual」「To determine whether these changes are of concern, it is important that a woman consults with a healthcare professional」。ページに日付の記載はありません。同学会の2026年7月14日のプレスリリースは、perimenopause は「usually begins when women are aged in their mid-40s, although onset can vary widely」としています。 「Perimenopause」の解説は、生理の変化の背景として、卵巣のホルモン分泌が不規則になることと、排卵の回数が減ることを説明しています。 ↩1 ↩2 ↩3
イギリス国民保健サービス(NHS)「Irregular periods」。生理が始まった日を周期の1日目、次の生理の前日を最後の日と説明しています。 ↩
Harlow SD, Gass M, Hall JE, Lobo R, Maki P, Rebar RW, Sherman S, Sluss PM, de Villiers TJ. Executive summary of the Stages of Reproductive Aging Workshop + 10: addressing the unfinished agenda of staging reproductive aging. Menopause. 2012;19(4):387–395(全文で確認)。2011年のワークショップで、5か国の研究者が中年の女性のコホート研究のデータを検討してまとめた分類です。月経周期の基準を「the most important criteria」とし、ホルモンなどの測定値は補助的な基準としています。周期が短くなり始めるのは生殖期の後期(Stage −3a)、閉経移行期の前期(Stage −2)は「a persistent difference of 7 days or more in the length of consecutive cycles」(連続する周期の長さに7日以上の差があり、最初の周期から10周期以内にくり返す)、後期(Stage −1)は「amenorrhea of 60 days or longer」(60日以上生理がない)で区切られています。これは研究・診療で段階を分けるための分類で、本人が自分を当てはめるための基準として示されたものではありません。「The STRAW + 10 model does not use age as a criterion for determining reproductive staging」とし、年齢や体格、生活習慣にかかわらず当てはめられるとしています。一方で、早発卵巣不全の人はこの分類に当てはめにくく、子宮摘出などの後の人や多嚢胞性卵巣症候群の人には、生理の基準を使えないとしています。perimenopause は「a term still in common usage that means the time around menopause」で、Stage −2 に始まり、最後の生理から12か月後に終わるとしています。 ↩
イギリス国民保健サービス(NHS)「Menopause symptoms」(2026年5月19日レビュー)。「one of the first signs of perimenopause is usually a change to your periods」「They may happen more often or less often, and bleeding may get heavier or lighter」。NHS「Menopause」は、閉経や perimenopause は「usually affects women between 45 and 55 but it can happen earlier」としています。 ↩
アメリカ保健福祉省 女性の健康局(OWH)「Menopause basics」(2026年4月2日更新)。「Your periods may be longer or shorter than usual. You might skip a few months or have unusually long or short menstrual cycles. Your period may be heavier or lighter than before」「Perimenopause, the transition to menopause, usually starts in a woman's mid- to late 40s」「The average age of menopause in the United States is 52」。 ↩
厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト」「更年期」。「閉経の前後約5年ずつの10年くらいを更年期といいます。日本人の平均閉経年齢は50.5歳のため、一般的には45~55歳頃です」。ページに更新日・監修者の記載はありません。厚生労働省研究班監修のヘルスケアラボ「更年期障害とは?」も、平均閉経年齢を50.5歳とし、その前後10年間を「更年期(周閉経期)」と呼んでいます。 ↩
日本産科婦人科学会「更年期障害」(2025年1月30日更新)、厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト」「更年期」、厚生労働省研究班監修 ヘルスケアラボ「更年期障害とは?」(2025年5月13日更新)、厚生労働省 e-ヘルスネット「女性の睡眠障害」(2025年6月16日更新)のいずれにも、「プレ更年期」という語はありませんでした。日本女性医学学会は、一般向けの資料をPDFで公開しており、本文は確認できていません。なお、アメリカの更年期学会(The Menopause Society)の用語集にある「premenopause」は、「The span of time from puberty (onset of menstrual periods) to perimenopause.」(初めての生理から perimenopause までの期間)と説明されています。響きは似ていますが、「プレ更年期」とは別の言葉です。 ↩
Li H, Gibson EA, Jukic AMZ, Baird DD, Wilcox AJ, Curry CL, Fischer-Colbrie T, Onnela JP, Williams MA, Hauser R, Coull BA, Mahalingaiah S. Menstrual cycle length variation by demographic characteristics from the Apple Women's Health Study. npj Digital Medicine. 2023;6:100(全文で確認)。アメリカの Apple Women's Health Study の参加者12,608人(18歳以上、登録時の平均33歳)の165,668周期。閉経を報告した人と、多嚢胞性卵巣症候群・子宮筋腫・子宮摘出の経験がある人を除き、10日未満と90日を超える周期を除いています。登録後の周期は、ホルモン剤の使用・妊娠・授乳がないと確認できたものに限っています。35〜39歳と比べ、平均の周期は20歳未満で1.63日、20〜24歳で1.43日、25〜29歳で1.12日、30〜34歳で0.56日長く、40〜44歳で0.49日、45〜49歳で0.33日短く、50歳以上で2.02日長くなっていました。ばらつき(一人ひとりの周期の長さの散らばりを、モデルから推定した値)は、35〜39歳と比べ、20歳未満で45.51%、20〜24歳で37.33%、25〜29歳で25.17%、30〜34歳で12.67%、40〜44歳で5.77%、45〜49歳で44.54%、50歳以上で200.31%大きく、35〜39歳が最も小さくなっていました。著者のうち2人は Apple 社の社員で、同社の株を保有しています。限界として、自己申告の記録であること、iPhone の利用者で英語で回答できる人に限られることを挙げています。 ↩
Tatsumi T, Sampei M, Saito K, Honda Y, Okazaki Y, Arata N, Narumi K, Morisaki N, Ishikawa T, Narumi S. Age-Dependent and Seasonal Changes in Menstrual Cycle Length and Body Temperature Based on Big Data. Obstetrics and Gynecology. 2020;136:666–674(全文で確認)。スマートフォンのアプリ「ルナルナ」に記録された、日本に住む310,668人の5,956,886周期(15〜54歳)を調べています。7日以下と90日を超える周期は除いています。平均の周期は23歳で最も長い30.7日、45歳で27.3日まで短くなり、その後は長くなっていました。ばらつき(年齢ごとの周期の長さの散らばり)は、20歳未満と45歳を超える年齢で比較的大きく、41歳で最も小さかったとしています。アプリはエムティーアイ社が提供しています。著者の所属は大学・研究機関で、研究費の一部は日本医療研究開発機構(AMED)の事業によるもの、著者の利益相反の報告はないとしています。限界として、アプリを使い続けている人に偏っている可能性、排卵の有無がわからず排卵のない周期を含みうることを挙げています。 ↩
Paramsothy P, Harlow SD, Nan B, Greendale GA, Santoro N, Crawford SL, Gold EB, Tepper PG, Randolph JF Jr. Duration of the menopausal transition is longer in women with young age at onset: the multiethnic Study of Women's Health Across the Nation. Menopause. 2017;24(2):142–149(全文で確認)。アメリカの SWAN の4つの地域で月経記録の研究に参加した、登録時42〜52歳の女性1,145人。周期のばらつきが大きくなる段階(STRAW+10 の基準)に入った年齢の中央値は、人種、体格、普段の周期の長さ、喫煙、学歴で調整した値で、たばこを吸う人で46.05歳、吸わない人で47.27歳でした。著者らは、登録の時点ですでに閉経していた人などが除かれていることや、登録より前にこの段階に入っていた人がいることを、結果をゆがめうる点として挙げています。 ↩