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記事: 寝る前のスマホは、眠りにどう関わる? 画面の光と、使っている時間から考える

寝る前のスマホは、眠りにどう関わる? 画面の光と、使っている時間から考える | Règles よみもの
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RÈGLES / よみもの32

睡眠と眠気

寝る前のスマホは、眠りにどう関わる?画面の光と、使っている時間から考える

読了の目安:約5分

寝る前のスマホと眠りを、光と時間に分けてみる

寝床に入ってから、スマホで動画やSNSを少しだけ。気づくと、思ったより時間がたっていた。そんな夜に、「眠りに響くのかな」と気になることはありませんか。

スマホと眠りの関係を考えるとき、画面の光に目が向きがちです。ただ、見続けているうちに、眠ろうと思っていた時刻を過ぎてしまうこともあります。研究では、画面の光が眠気や体内時計に作用する可能性と、画面を見る時間が眠る時間を遅らせる可能性が挙げられています。1

ここでは、画面の光と、使っている時間の二つに目を向けてみましょう。光を浴びると体に何が起こるのか。そして、画面を見ている時間は、眠る時間とどう関わっているのでしょうか。

夜に浴びる光は、体内時計を遅らせる

厚生労働省の解説によると、夕方から深夜にかけて浴びた光には、体内時計の時刻を遅らせる作用があります。体を夜型にする方向の作用で、夜が更けるほどその力は強くなります。2

このとき、眠りを促すホルモンにも変化が起こります。メラトニンは、夜に分泌されるホルモンです。厚生労働省の別の解説は、寝る前に光を浴びるとメラトニンの分泌が遅れ、眠りにつきにくくなるとしています。3

夜に浴びる光には、家庭の照明やテレビ、スマホやタブレットの画面から出る光も含まれます。なかでも白色LEDなどには、体内時計に強く作用するブルーライト(青色光)が多く含まれると説明されています。2

夜の光が体に作用することと、スマホを使った夜にどれだけ寝つきが変わるかは、分けて確かめたいところです。次に、画面で読書をした夜の眠りを調べた実験を見てみましょう。

画面を見たあと、眠気や寝つきはどう変わる?

タブレットと紙の本で読書をした夜を比べると、画面を見ることが眠りにどう関わるかを調べられます。アメリカの病院の研究チームは、若い成人12人に、寝る前の約4時間、薄暗い部屋で読書をしてもらいました。明るさを最大にしたタブレットで読む夜と、紙の本で読む夜を、5晩ずつ過ごしています。4

タブレットで読んだ夜は、紙の本の夜に比べて、メラトニンの分泌が抑えられ、寝る前の眠気が弱くなりました。寝つくまでの時間は平均で約10分長く、翌朝の眠気は強くなっています。一方、眠っていた時間の合計には差がありませんでした。4

もっと短い時間で試した実験もあります。16人の学生が、自宅の寝床で30分、タブレットか紙の本で物語を読みました。こちらもタブレットの夜は寝る前の眠気が弱まりましたが、寝つくまでの時間には差がありませんでした。5

Fig. 01タブレットと紙の本を比べた2つの実験
寝る前の約4時間・5晩ずつアメリカ・若い成人12人薄暗い部屋で、明るさを最大にしたタブレット

寝つくまでの時間が、紙の本の夜より平均で約10分長い

寝る前の眠気は弱まり、翌朝の眠気は強くなった。眠っていた時間の合計に差はなかった(注釈4)

寝る前の30分学生16人自宅の寝床で、タブレット

寝つくまでの時間に、紙の本の夜との差はなかった

寝る前の眠気は弱まった(注釈5)

読んだ時間の長さ・部屋の明るさ・場所が異なる実験です。時間だけで影響の有無を分けた結果ではありません(注釈4・5)。

二つの実験に共通していたのは、タブレットを見たあとに眠気が弱まったことです。ただし、眠気の変化が、そのまま寝つくまでの時間の変化として現れたわけではありません。眠気をどう感じたかと、実際の寝つきは、別の項目として見る必要があります。

スマホの光は、普段の使い方でも眠りに影響する?

この結果を、そのまま普段のスマホ利用に当てはめることはできません。先ほどの二つの実験は、読んだ時間だけでなく、部屋の明るさや場所も違い、どちらも十数人を対象にしています。「4時間だと寝つきが遅れ、30分なら影響がない」と、時間だけで線を引くこともできないのです。

アメリカの睡眠財団(National Sleep Foundation)が研究を検討した報告でも、画面の光による影響は小さいか、普段の使い方とは異なる実験条件で見られたものが多かったと説明されています。「寝る前の画面の光は睡眠を損なう」という見解について、専門家の合意には至りませんでした。1

これは、画面の光に影響がないと確かめられた、という意味ではありません。夜の光には体内時計に作用するはたらきがある一方、画面の明るさや見る時間など、普段の使い方で眠りがどれだけ変わるかは、まだ一律には言えないのです。

寝床で画面を見る時間が長いほど、睡眠時間は短い傾向

もう一つ考えたいのは、画面を見ている間に、眠り始める時刻が遅くなることです。先ほどの報告も、画面の使用が眠る時間を置き換えたり、遅らせたりする可能性を挙げています。光が体にどう作用するかとは別に、眠るための時間が残っているか、という話です。1

ノルウェーの18〜28歳の学生を対象にした、4万人規模の調査があります。寝床に入ってから画面を見る時間が1時間長いごとに、睡眠時間は平均で24分短く、不眠の症状がある人も多い傾向でした。この関連の強さには、見ているものがSNSか、それ以外かによる違いは見られていません。6

著者らは、画面を見る時間が眠る時間を置き換えているという見方に合う結果だとしています。ただし、これは一度のアンケートによる調査です。眠れない人が、時間を過ごすために画面を使っている可能性もあり、原因と結果の関係は言えないとも述べています。6

Fig. 02画面の光と、眠る時刻
画面の光

眠気や体内時計に作用する可能性

夜の光には体内時計を遅らせる作用があります。普段の画面の使い方で眠りがどれだけ変わるかは、一律には言えません(注釈1・2)

見ている時間

眠ろうとしていた時刻が遅くなる可能性

寝床で画面を見る時間が長いほど、睡眠時間が短い傾向が調査で見られました(注釈6)

光の作用と、眠る時間が遅くなることを分けて考えるための整理です。時間の調査から因果関係は判断できません。

厚生労働省は、寝室の照明はできるだけ暗くし、スマホやタブレットを持ち込まないことが大切だとしています。照明を暗めにする、画面の明るさを落とすといった工夫も挙げています。32

「もう少しだけ」と画面を見ている夜には、光を浴びることに加えて、眠ろうとしていた時刻が過ぎていくこともあります。明るさを調整していても、見続けた時間がなくなるわけではありません。冒頭の「気づくと時間がたっていた」という夜も、眠りを考えるうえで見過ごせない一場面です。

画面の明るさだけでなく、スマホを見続けて寝るのが遅くなっていないかも、少し気にしてみませんか。

注釈・出典

  1. Hartstein LE, Mathew GM, Reichenberger DA, Rodriguez I, Allen N, Chang AM, Chaput JP, Christakis DA, Garrison M, Gooley JJ, Koos JA, Van Den Bulck J, Woods H, Zeitzer JM, Dzierzewski JM, Hale L. The impact of screen use on sleep health across the lifespan: A National Sleep Foundation consensus statement. Sleep Health. 2024;10(4):373–384(全文で確認)。16人の専門家の会議が2023年に5回の会合を開き、文献の検索で522件の研究と52件の総説を選び出し、そのうち35件の実験・介入研究(「The Panel ultimately reviewed evidence from 35 experimental/intervention studies」)と5件の系統的な総説を検討して、10の文について2回の投票をしました。合意されたのは5つです。年代は子ども(5〜12歳)、思春期(13〜19歳)、大人(20歳以上)に分けています。「In general, screen use impairs sleep health」と「The content of presleep screen use impairs sleep health」は子どもと思春期で合意され、大人では合意に至りませんでした(「The Panel did not reach consensus on whether, in general, screen use impairs sleep health for adults」)。「Light from presleep screen use impairs sleep health」は、どの年代でも合意に至っていません。光の影響については「typically small or the consequence of laboratory design that did not represent how people typically use screen-based digital media」、ブルーライトについては「Interventions that filtered the transmission of short wavelength 'blue light' consistently showed only minimal improvements in sleep health」、大人については「other published studies have reported inconsistent effects and insufficient evidence among adults」としています。画面の使用が眠る時間に与えうる影響は「potentially displacing, delaying, or disrupting time spent sleeping」と書かれています。「Behavioral strategies and interventions can reduce the potentially negative effects of screen use on sleep health」という文も合意されました。著者には、講演料や研究費などの開示があります。 ↩1 ↩2 ↩3

  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」(三島和夫、2025年6月1日更新)。「逆に夕方から深夜にかけて浴びた光は体内時計の時刻を遅らせる(夜型にする)作用があり、夜が更けるほどその力は強くなります」「夕方以降でも家庭照明やテレビ、スマートフォンやタブレットなどの液晶画面から光が出ています」「特に、白色LEDなどは体内時計に強く作用するブルーライト(青色光)が多く含まれるので要注意です」「照明を暗めにしたり、ブルーライトを含まない暖色系のライトを活用したり、画面の輝度を落とすなどの工夫をしましょう」。 ↩1 ↩2 ↩3

  3. 厚生労働省 スマート・ライフ・プロジェクト「寝ても疲れが取れないなら要チェック!あなたの睡眠の質 大丈夫ですか?」。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」にもとづく解説で、国立精神・神経医療研究センターの栗山健一氏への取材をもとにしています。睡眠ガイド2023の本体はPDFのため、このHTMLの解説で確認しました。「日中に日光を浴び、夜間は照明を暗くする」の項で、メラトニンを夜間に睡眠を促すホルモンと説明し、「ただ、就寝前に光を浴びるとメラトニンの分泌が遅れ眠りにつきにくくなることや、寝ている間の光でも睡眠の質が悪くなることがわかっています」「寝室の照明はできるだけ暗くし、スマートフォンやタブレット端末を持ち込まないことが大切です」としています。こども向けの項には、「スマートフォンやタブレットなどのデジタル機器には、体内時計への影響が強い「ブルーライト」が多く含まれていて、寝つきの悪化や睡眠の質の低下を招きます」「成人に比べてこどものほうが光の影響を受けやすく、特に布団に寝そべってスマートフォンやタブレットを使うと、良い睡眠が得られにくくなります」とあります。 ↩1 ↩2

  4. Chang AM, Aeschbach D, Duffy JF, Czeisler CA. Evening use of light-emitting eReaders negatively affects sleep, circadian timing, and next-morning alertness. Proceedings of the National Academy of Sciences. 2015;112(4):1232–1237(全文で確認)。アメリカのブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究です。健康な若い成人12人(平均24.9歳、女性6人・男性6人)が14日間施設に滞在し、発光するタブレット(iPad、明るさは最大)で読む条件と、紙の本で読む条件を、5晩ずつ順番を入れ替えて受けました。読書は18時から22時の約4時間、部屋の明るさは約3ルクス、眠る時間は22時から6時に固定されています。寝つくまでの時間はタブレットで25.65分、紙の本で15.75分でした。メラトニンの分泌はタブレットの条件で抑えられ(紙の本の条件では抑えられていません)、分泌が始まる時刻は1時間半以上遅くなりました(メラトニンの解析は11人)。レム睡眠はタブレットの条件で短く、「There was no difference between conditions in TST, sleep efficiency, or the duration of non-REM sleep」としています。眠気は、寝る1時間前にはタブレットの条件で弱く、翌朝はタブレットの条件で強くなりました。著者らは「the LE-eBook was set to maximum brightness throughout the 4-h reading session」「this study did not include a light-emitting device with longer wavelength for comparison」などを挙げています。 ↩1 ↩2

  5. Grønli J, Byrkjedal IK, Bjorvatn B, Nødtvedt Ø, Hamre B, Pallesen S. Reading from an iPad or from a book in bed: the impact on human sleep. A randomized controlled crossover trial. Sleep Medicine. 2016;21:86–92(要旨のみ確認)。学生16人(女性12人、平均25.1歳)が、自宅の寝床で眠る前に30分、iPadか紙の本で物語を読み、睡眠中の脳波などを測りました。読書中の明るさは、iPadの条件で58.3ルクス、紙の本の条件で26.7ルクスでした。「Reading a story from an iPad decreased subjective sleepiness, delayed the EEG dynamics of slow wave activity by approximately 30 min, and reduced slow wave activity after sleep onset compared to reading from a book」「No parameters of sleep state timing and sleep onset latency differed between the two reading conditions」。要旨は slow wave activity を「EEG characteristics of sleep pressure」(眠りを求める強さを表す脳波の特徴)として扱っています。研究を行った国は要旨から確認できませんでした。注釈4の実験とは、明るさを測った条件が同じとは限らず、数値をそのまま比べることはできません。 ↩1

  6. Hjetland GJ, Skogen JC, Hysing M, Gradisar M, Sivertsen B. How and when screens are used: comparing different screen activities and sleep in Norwegian university students. Frontiers in Psychiatry. 2025;16:1548273(全文で確認)。ノルウェーの学生を対象に2022年に行われた調査(Students' Health and Wellbeing Study)のデータを使った研究です。対象は18〜28歳の学生で、人数は要旨で45,202人、方法の節で45,654人、結果の節で46,202人と記載が分かれています。画面を見る時間と睡眠の関連は、寝床で画面を使うと答えた人(方法の節で38,809人)について調べており、結論では「among almost 40,000 university students」としています。寝床に入ってから画面を見る時間と、不眠の症状、睡眠時間は、本人の回答によります。「A one-hour increase of screen time after going to bed was associated with 59% higher odds of having symptoms of insomnia」(オッズ比1.59、95%信頼区間1.53〜1.64)、「a reduction in sleep duration of 24 minutes」。オッズ比は、不眠の症状がある人の割合がそのまま59%多いという意味ではありません。「The associations between screen time and sleep outcomes did not differ for social media use versus other activities」。著者らは、結果が「the time spent on screens displaces sleep」という見方(displacement hypothesis)を支持すると解釈できるとしたうえで、「we are unable to infer causality based on cross-sectional data」「those who struggle with sleep use screens as a past-time or a sleep aid」と述べ、回答率が35.1%であること、本人の回答によることも限界に挙げています。 ↩1 ↩2

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